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特攻作戦から9度生きて帰ってきた男 ~鴻上尚史『不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか』~

更新日:

「人間は、容易なことで死ぬもんじゃないぞ」

ハローこんばんは、マイマイです。
最近、昭和史が分かる本を中心に読んでいることが多いのですが、そんな中立ち寄った書店で見つけたのが、
2017年11月15日に発売され、たちまちベストセラーになったノンフィクション小説『不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか』。
今なおAmazonの売り上げランキング上位で、多くの書店でもプッシュされている作品です。

以前、城山三郎の『指揮官たちの特攻 幸福は花びらのごとく』を読んだこともあり、より特攻隊について知りたいと言う気持ちと、

1944年11月の第一回の特攻作戦から、9回の出撃。陸軍参謀に「必ず死んでこい!」と言われながら、
命令に背き、生還を果たした特攻兵がいた。
(鴻上尚史『不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか』 帯より)

こちらの帯に書かれていた、「9回の出撃からの生還」に興味が沸き手に取り読んでみました。


指揮官たちの特攻 幸福は花びらのごとく (新潮文庫) [ 城山三郎 ]

 

あらすじ

 

この作品は特攻隊として9回の出撃命令を受けた佐々木友次氏のエピソードを中心に描かれます。

第一章は著者の鴻上氏が佐々木氏がまだ存命であることを知り、北海道の病院まで訪問するまでの話。
第二章は戦時中の資料と、佐々木氏へのインタビュー内容を基にして、その生い立ちから特攻隊への編成、フィリピンでの9度の出撃と生還、そして終戦による帰国までを描いています。
第三章は5回に渡るインタビューの内容がまとめられています。
第四章は参考文献から紐解く特攻隊の実態と鴻上氏の所感。

北海道で生を受けた佐々木氏は毎日近くを飛ぶ「北海道タイムス」という新聞社の定期便の飛行機を眺め、いつか絶対に飛行機に乗り、大空を飛ぶんだと言う夢を持ちます。
17歳の時「逓信省航空局仙台地方航空機乗員養成所」の試験に合格し、晴れてパイロットへの道を一歩踏み出すことになります。
その後鉾田陸軍飛行学校に配属、そこから一年後にフィリピンの第四航空軍へと配属されます。これが第一回特攻部隊、万朶隊です。
そしてフィリピンへと向かい、9度の出撃と生還を果たし、日本へ帰国することになります。

 

無謀な特攻の意義

 

この話の中で印象に残るのは、最初は作戦として組み込まれた特攻が徐々に「死んでくること」を命令するようになる参謀長の姿や、
徐々に戦闘機が無くなり最終的に速度の出ない特攻には全く不向きな練習機での特攻を強いるなどと言った、
無能な上官に翻弄され、それに反論することもできず特攻させられていった下士官達の姿です。

倫理的・道義的な観点からすれば特攻と言うのは容認できない人道に反した命令であると言うのは明らかですが、
実際作戦として有意義であったかは意見が分かれるところのようです。
(鴻上氏の参考にしているデータでは、爆弾を落とす以上の成果を出せていないとのことですが、一概にそうとも言えない側面もあるようです。)
しかし、優秀なパイロットから順に特攻隊に任命した点や天候などの状況を考えず碌な作戦も立てず「死んでくること」を命令する点など、
あまりにも作戦と呼ぶにはお粗末で場当たり的であり、読んでいても怒りを覚えるほどです。

昨今、国の為に命を賭した特攻隊を安易に神格化し、その遺言などから感動エピソードに仕立て上げることが多々ありますが、
この作品を読むことで、勇気を出して特攻に向かった人達を称え尊敬することとは別に、
特攻作戦と言うその作戦自体について色々と考えさせられました。

 

書評

 

第一章~第三章にかけて、資料やインタビューを通して9回の出撃から生還した佐々木氏の姿、特攻隊の姿を鮮明に描かれており、
改めて戦争の悲惨さを知ることができ、特攻隊を安易に神格化せず冷静に見つめ直すことができます。

第四章の鴻上氏の所感については共感すべき点は多々ありますが、
「9回出撃して生還した話」の内容を基に「特攻隊批判」されているのではなく、全く別のデータを引っ張り出してきて批判されているからでしょうが、
今回の『不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか』というタイトルとは少し離れた内容な気がして、読んでいても若干の違和感を覚えました。
第三章のインタビューも一部そうですが、話の流れが少し飛び飛びで分かりにくいこともあり、
当初「この人(佐々木友次氏)の生涯を本にしたかった」と言うテーマで書かれていたものが、最終章でよくある特攻隊批判の話でまとめられてしまっています。
結果として佐々木氏の生涯を本にしたかったと言う熱意が今一つ伝わらない状態で終わってしまっているのは残念でした。

とは言え、特攻隊の実際の姿を知ることができる作品であり、戦時中の日本について学び直すことのできる良い本だと思います。


不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか【電子書籍】[ 鴻上尚史 ]


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