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「逃げる」ことは「変わる」こと。 ~宮下奈都『たった、それだけ』~

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本を読むって大事ですね。

ハローこんばんは、マイマイです。
前回も書いた通り病気でぶっ倒れてしまい職場復帰ができていない為、逆に時間が有り余っております笑
今まで「やりたいなー」と思っていたことを少しずつ「やろう」に変えていけたらと思い、
今は只管本を読んでおります。働いているとなかなかじっくり読書できませんでしたから。

退院後に本屋で何気なく手に取ったのが、宮下奈都さんの『たった、それだけ』。

宮下奈都さんの作品はまずタイトルが毎回琴線に触れます。
『スコーレNo.4』『太陽のパスタ、豆のスープ』『誰かが足りない』『窓の向こうのガーシュウィン』『はじめからその話をすればよかった』『羊と鋼の森』…
そして『たった、それだけ』。
音楽も好きな私はこのタイトルを見るだけでも名曲の予感を何となく感じる訳です笑
著者がザ・ハイロウズが好きなのが滲み出ているのかもしれません。
過去無数に様々な創作が世に出ている中、「有りそうでなかった」、そして「少しだけ光を感じる」ようなタイトルが多い気がします。
私の性格がこんななので、全力でポジティブな作品よりも、寂寞感や後悔がある湿度の高い作品が好きと言うのもありますが笑
ポジティブだけの人間なんていないと思いますので、誰もが共感して読み易い作品ばかりだと思います。


誰かが足りない【電子書籍】[ 宮下奈都 ]

今作は全六話、六人の人物がそれぞれの一人称で語られます。
「贈賄に加担していた(可能性がある)望月正幸が失踪する」と言う一つの事柄を発端に、愛人、妻、姉、子供の先生、子供、子供の同級生がそれぞれの人生を語ります。
共通しているのは「小さな何か、たった、それだけがあればもっと違ったかもしれない」と言う後悔を誰しもが抱えていることです。
あの一言が言えたなら。あの時ああしていれば。あれは本当に正しかったのか。
全員が過去を自問自答しながら、今を生きています。
作品として面白いのは、失踪した望月正幸の視点は描かれません。
実は彼はこうだったのだ、こういう考えを持っていたのだ、なんてことは本人が語らない為、全く分かりません。
あくまでその事件に巻き込まれた周囲の人間の考えのみで話は進みます。
だからでしょうか、作品全体の雰囲気は全くドラマティックではなく、とてもリアリティを持っています。

宮下奈都作品全てに共通する部分として、「書き過ぎない」「余白の美学」のようなものを感じます。
登場人物は必要最小限に抑えられ、語り部の感情以外は(本人じゃないので)極力描写しないようにされています。
誰もが常に自分の考えや後悔と向き合い、周囲で起きた出来事から、結果小さな一歩を踏み出す。そんな作品が多いです。
多弁ではありませんし言葉足らずで優しくない、あっさりしていてつまらない、と感じる人もいるかもしれません。
とても静かな印象を受けますが、だからこそ読者に想像の余地が残され、読んでいてとても感情移入しやすいのだと思います。
自分の日々の感情の変化に合わせて、何度も楽しめる作品です。

今作についてのテーマの一つは「逃げる」。
ネガティブな恥ずかしい言葉と言う印象を受けますが、後半に出てくる台詞に、
「逃げてるように見えても、地球は丸いんだ。反対側から見たら追いかけてるのかもしれねーし」
と言うものがあり、これがまさにこの作品を象徴する言葉だと思います。
「逃げる」は「変わる」ことであり、「変わる」ことは「前へ進む」ことなんですよね。
この作品を読むと、小さな勇気が沸いてくるような気がします。


たった、それだけ【電子書籍】[ 宮下奈都 ]


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