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『黒革の手帳』にハマった貴方にお薦め!!女性の強かさを緻密に描いた作品『悪女について』

更新日:

タイトルからして名作_(:3」∠)_

ハローこんばんは、マイマイです。
ドラマ『黒革の手帖』がいよいよ来週でクライマックスですね。
米倉涼子と釈由美子が出ていた頃のイメージが強かったり、流石に時代的にスマホの方がしっくりくるなあ…とか考えながらドラマを見てます。
黒革だからこそ重厚感ある雰囲気が生まれているので、和服着てスマホをスワイプしているママは何だか違和感あるでしょうけど笑

とは言え、何故だか分かりませんが私、こう言った女性の魔性が描かれた作品凄く好きでして。
あ、ドMとかそういうのではないんですよ?
男が主役ではあまりこう言う社交性を演じながら強かに人を蹴落としながら出世していくストーリーってあまり無いですよね。
大体そういうのは悪役で登場するような…。それが女性が主役になると、途端にその悪役にスポットが当たって評価されているのも面白いですよね。
今回、『黒革の手帖』のようなストーリーが好きな人に絶対お薦めな小説を紹介させて頂きます。

1978年に『週刊朝日』で連載され、同年と2012年にドラマ化された有吉佐和子の小説、
『悪女について』です。
2012年のドラマは沢尻エリカが主演だったので覚えている人もいるかも…?


悪女について【TBSオンデマンド】【動画配信】

有吉佐和子作品の中でも一番のヒット作である『悪女について』は、しかしやはり小説で読むに限ります。

 

「悪女」の描き方がすごい!

 

↓↓あらすじ↓↓
《自殺か、他殺か、虚飾の女王、謎の死》――醜聞(スキャンダル)にまみれて謎の死を遂げた美貌の女実業家富小路公子。
彼女に関わった二十七人の男女へのインタビューで浮び上がってきたのは、騙された男たちにもそれと気付かれぬ、恐ろしくも奇想天外な女の悪の愉しみ方だった。
男社会を逆手にとり、しかも女の魅力を完璧に発揮して男たちを翻弄しながら、豪奢に悪を愉しんだ女の一生を綴る長編小説。

あらすじを読むだけでもちょっとゾクゾクしませんか?僕がMなだけ?笑
何が凄いってこの小説、スポットが当たっている主役とも言える女実業家富小路公子は、
小説の中で一度も登場しません。
登場するのは公子と関わりのあった二十七人の男女。
物語はその二十七人がそれぞれの公子像を語る形で描かれます。
つまり、二十七通りの主観で描かれた「美貌の女実業家富小路公子」を読者は読んでいくのです。

『悪女について』と言うタイトルですから、さぞえげつない悪女なのだろうと思って読むとビックリしますよ。
公子を悪女だと思っている人は少数派なのですから。
特に男性は、それぞれ公子にとってある特定の役割を演じさせられる訳ですが、男性からしたらむしろ「可愛いからしてあげよう」と思うようにしむけられているのです。
まあ、大概がパトロンとしてしか見られてないんですけどね笑
こういう女性はえてして同性から嫌われるものですが、公子はむしろ同性からも「あれほど素敵な女性はいない」と思わせることにも長けています。
特に実業家として成功するまでは質素でも華美でもなく、多少の哀れみを持たれるような振る舞いで親近感を抱かせるんですね。
その描写が本当に読んでいて無理矢理感が無いと言うか、リアリティがあるのです。
本当の悪女は、相手に悪女だと悟らせないんですね…恐ろしい…笑



 

ストーリー構成がすごい!

 

それぞれの目線で描かれる公子は主観に満ちているので、当然描かれ方が違います。
が、しかし、同じ時期の話なのにある一方ではすごく華美な生活をし、ある一方では質素な生活をしていたり、年齢でさえも多少の違いがあったり…。
公子は会う人会う人に自分の過去や現在について語るのですが、それが微妙にそれぞれ異なるのです。
時系列は同じ位なのに…あれ…?となるのですが、つまり公子はコミュニティごとに違う自分を演じ、それぞれのコミュニティでの設定に矛盾が生じないように行動をしているのです。
最早サスペンスのアリバイ工作の域です。
二十七人の話を読んでいて「おや?」と思うのですが、嘘を吐かれている当事者達は全くその公子の過去や現在の生活に対しては疑いを持たないのです。
公子が嘘に嘘を重ねながらもそれがばれて追われることも無ければ、むしろそれぞれのコミュニティで美味しい蜜を吸っていく姿はあまりにも見事で感嘆してしまいます。
ここまで計算高けりゃ、そりゃ男も騙されるわ笑

 

人の見方を考えされられる!

 

上記の通り、読者は「公子は嘘を吐いている」と言うことに気付きます、が、明らかに嘘だとは気付いて、では真実は何なのか。
それは当人が既に死んでしまっている為に最後まで明確にはなりませんし、全てが主観で語られる中では読者も何を信じれば良いか、読む人それぞれに委ねられてしまうのです。
ある人によって語られる公子の姿が、また次の人の話を読むとその姿が全くの嘘だったような気になるのです。

ドラマや舞台では公子自身が登場してその一生を追うような形になってしまいますが、小説ではそうじゃないのです。
「絶対に公子は嘘を吐いている」と気付けるのに「どれが本当の公子なのか」は終始一切分からないのです。
どの人物と関わる時も公子は大げさには飾りませんし、性格や口調などは偽っていないように感じます。
過去や現在の生活、思想などの自分を構成する設定をほんの少し演じて変えているだけなのです。
だからか、どれも本物のようにも感じますし、どれも偽者のようにも感じます。

そうやって読み進めて二十七人の話を全て聞き終わった後、作り上げられている公子像は恐らく読者一人一人違います。
それはさながら公子に関わった人それぞれが描く公子像が違うように。

これって、普段の生活でも感じることがあると思います。
あなたが良い人だと思っている人がある人からは嫌われていたり、あなたが苦手な人が誰かの大切な人であったり。
自分の人の見方が偏ってないか、良いところや或いは悪いところに目を向けていないのではないか、そんなことを考えさせられますね。

また、インターネットや新聞、雑誌、様々なメディアで描かれる著名人の姿が本当の姿なのか、とも。
公子は一代で財を成した一方で数々のスキャンダルを起こしたことから、マスコミからは「虚飾の女王」「魔性の女」などと悪評を書きたてられていますが、
関わりのあった人の話では決してそれだけでは言えない、様々な面があります。
確かに客観的に見た姿は「悪女」であり「魔性の女」なのかもしれませんが、人との関わりに対して研究熱心で人に愛されるような魅力的な人物であったことも間違いないように思います。
ある一点だけを見るのではなく、物事を多面的に見つめることの大切さを知ることができる作品です。

こんな作品が、40年前に書かれていたというのが驚きですね笑
『黒皮の手帳』にハマるような、強かな女性にころりと騙されてしまうような貴方にお薦めの一冊です。
500Pを超える長編ですが、一読の価値ありですよ。


悪女について改版 (新潮文庫) [ 有吉佐和子 ]


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